静流は何度見ても、見慣れても、イケメンという概念を捨てられないくらい顔が整っている。

 顔のパーツ一つ一つがびっくりするほど綺麗だし、スタイルが良すぎるし。

 そのせいで真剣に見つめられたら、思わず息が詰まってしまう。

 ……決して、静流にドキドキしているわけではない。

「……静流さ、病院行ったほうが良いんじゃない? そんな事言うの静流らしくないよ。」

「これでも俺は本気だ。……信じてくれ。」

 眉の端を下げ、見捨てられそうな子犬の目で見つめられる。

 ……静流、こんな顔できたんだ。

 いつも無表情だから、驚きが自分自身ですぐに分かる。

「……そう言われても、信じれない。私はずっと、静流のことを仲のいい知人だとしか思ってなかったから。」

「今はそれでいい。だが……俺の気持ちをいつかは信じてほしいと思っている。」

「私が静流を恋愛対象として見れない、としても?」

「あぁ。香のことが本気で好きなんだ。」

「……そっか。でもやっぱ無理。」

 まだ三分の一ほど残っているお弁当を閉じ、ベンチから立ち上がる。