甘くて優しい青春恋物語 ~初恋ジューンブライドの誓いは甘酸っぱい~

 珍しい、静流から声かけてくるなんて。

 静流は無口で滅多に自分から喋ろうとしないから、つい手を止めて言葉を待つ。

 何言ってくるんだろ……。

 無口故、何を言ってくるのか予想できない。

 静かに言葉を待っていると、直後に静流の綺麗な薄い唇が開かれた。

「香、好きだ。」

「…………はい?」

 え、静流今何て言ったの……?

 好き、とは……一体。

「俺と付き合ってほしい。」

 ぽかん状態の私に、追い打ちをかけるようにそう言ってくる静流。

 付き合って……?

 好きという言葉と付き合ってという言葉を照らし合わせて、しばし考える。

 でも結論はすぐ出した。というより、考えなくても決まってる。

「ごめん無理。」

 静流も知ってるはずだ、私が男嫌いな事は。

 それなのに告白してくるとは、如何なる事か。

 っていうか私、まだお弁当食べ終えてないんだけど。

 心の中で愚痴を洩らし、箸をもう一度握り直す。

 ……はっきりと断って、再び食べようとする。

 そう……断った、のに。