今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 と、エステルが思う頃にはふたりの器はきれいに空になっていた。

 レスターが器を覗き込んで名残惜しげに言う。

「いつの間にかなくなってるんだけど、どうしてだろう……」

「これが親子丼なの。すごいでしょ」

「さすが俺の妹だよ。街の料理人にもなれるんじゃないか?」

「そういうのもいいかもしれないね」

(聖女に覚醒して魔王に殺されるより、そっちのほうがずっといい)

 いつもならすぐに食器の片づけを始めるのに、今日ばかりはふたりともしばらくだらだらしていた。

 おいしい朝食の余韻に浸りたいという気持ちは、レスターもエステルも変わらなかったらしい。

「次の卵の日まで待てるか心配だな」