今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 その間にゴダンはバルコニーのほうへ移動する。

「思い通りにならないなら壊れたってかまわないさ」

 それはゲーム内でゴダンがレナーテを操って仲間たちと戦わせるときのセリフだった。

 笑ったゴダンの手がエステルの首から離れる。

「えっ」

 その先の展開はエステルの知っているものではなかった。

 解放された身体は重力に従って落ちていく。

 バルコニーではなく、手すりを越えた先の──深い谷底へ。

「エステル!」

 ゼファーが初めてエステルの名を叫ぶが、その声がエステルの耳へ届く前に彼女の身体は谷底の闇に包まれた。

(こんなのやだ、聞いてないよ)