今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 よほど腹に据えかねたようで、ゴダンはエステルを先々の利益のためではなく、八つ当たりのために利用しようと思ったようだった。

 身動きが取れないエステルが足をばたつかせ、もがき、肉が詰まった太い腕に爪を立てて逃れようとする。

「ぜ、ふぁ」

 か細い声がその名を響かせた途端、バルコニーの扉が勝手に開いて風が吹き込んだ。

 それに気づいたゴダンが振り返ると、そこには一切の表情を消したゼファーの姿がある。

「な……誰だ!」

 ゼファーはゴダンのほうを見ようともしなかった。

 片手で押さえつけられ、苦しそうにもがくエステルだけを視界に映している。

「そばを離れるべきではなかったな」