今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 勢いがついたせいで、がしゃんとぶつかった食器が音を立て、銀のフォークが床に落ちる。

 それなのに、落ちた食器を拾う使用人の姿は現れない。

「できないことはないだろう。君のための設備はすべて用意すると言っているんだよ」

「私、そんなにすごい人間じゃないです! ここでは暮らせません……!」

「村に戻りたいと?」

「だってお兄ちゃんが待ってます」

 エステルが生きる場所はメイナ村だけだ。

 しかしその回答は男爵にとって望まないものだったらしく、露骨に嫌な顔をされる。

「こんなにお願いしているのに、言うことを聞けないと言うんだな」

「ごめんなさい。でも、私……」