今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 砂を踏む足も足首までは人間のものだが、そこから先は鋭いかぎ爪がついた鳥の足だ。

(セイレン!)

 エステルはゲームの知識から、目の前の生き物が海の魔物だと理解する。

 セイレンはしっとりと海水を含んだ黒い髪を振るうと、同じ色をした瞳でエステルを見つめた。

 ゲーム内ではいわゆる雑魚の一種だが、その瞳には知性が宿っている。

「なんだかとてつもない魔力を感じたから来てみたのだけど」

 違和感を覚えるほど魅力的な声は、セイレンと呼ばれる種類の魔物に、歌声で人間を惑わす力があるからだろう。

 エステルは身体を支えてくれているゼファーの手に、力が入ったのを感じた。

「殺すか?」