今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 しばらく無心でゼファーの手をこねくり回していたエステルだったが、不意に彼の手が握り返してきたためにぎょっとして手を止めた。

「なに?」

「なにか来る」

 ゼファーはただ膝に乗せていただけのエステルの身体に腕を回し、引き寄せる。

「なにかって……」

 エステルが言いかけたそのときだった。

 凪いでいた海がいきなり荒れ、ふたりのいる入り江に向かって高い波が流れ込む。

「きゃ!」

 驚いて悲鳴をあげたエステルだったが、海水は彼女に降りかかる直前で霧散した。

 いつの間にかエステルの──正確にはゼファーを包むように泡のような膜が張られている。