今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 調査をするには決して長いとは言えない期間だが、こんな状況では店の人間に話しかけることもままならない。

(……それに、治安がいいわけじゃないみたいだし)

 たったひとりで行動する少女に向けられる眼差しの中には、興味や好機以外のものが交ざっていた。

 エステルは背中にまとわりつくような嫌な気配に不穏なものを感じ、人混みを振り返る。

 行き交う人の間に怪しげな姿は見当たらない。

(ちょっと考えが甘かったな。……ここは勇者が生贄として攫われるような世界なのに)

 明らかに異質な視線から逃れようと人の波に流れて歩くエステルだったが、その途中であることに気づいて背筋が冷えた。