今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

「今はお菓子作りだから。だけど余裕ができたらお酒も造ってみたいね」

「先に酒がいいな」

「飲む人が限られちゃうでしょ?」

 鍋の中で濃い赤紫色の果汁がふつふつと煮立ち始める。

 室内にベリーの甘い香りがより濃厚に漂った。

 すんと鼻を鳴らしたフェンデルが立ち上がり、エステルの手もとの鍋を覗き込んで言う。

「燻製臭くなるよりこっちのほうがいい気分だ」

「私が思ってる通りになってくれてるといいんだけど……」

「ん?」

「煮詰めると甘くなるはずなの」

 鍋の中からはたしかに甘い香りがするが、見た目では味までわからない。

「ちゃんとお菓子になるかなぁ」