今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

 村の終焉も幼馴染たちの悲劇も、そして自分自身の死も、すべて回避してみせる。

 いつもするように心に誓ったエステルは、水晶に触れていた手を離して封じられた魔王に背を向けた。

「それじゃあ、また明日来るね」

 ──あなたの封印を絶対解かないために。

 口にはせず告げて、エステルは来た道を戻っていった。



 リンバーグ山からメイナ村まで、フィールド画面では数歩でも実際の距離はそれなりになる。

 同じ家に住む義兄(あに)が目覚める前に行って帰ってくるのが日課で、今日も村の鶏たちが騒ぎ出した頃に戻ろうと思っていたのだが。