今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~

(一方的に悪役にされて何千年も封印されたんだから、そりゃあ女神を憎んで殺そうともするよ)

 その辺りの細かい設定はゲームの中で明かされていない。

 多くのプレイヤーは魔王のバックストーリーを望んでいないからだ。

(私もそうだった。勇者になって、世界を滅ぼす悪い魔王を気持ちよく倒せればいい。だけどこの世界で生きていると、余計なことばっかり考える……)

 半年間、水晶の中で眠る魔王を見ていたエステルの胸には哀れみや悲しみが浮かぶようになっていた。 

 だから彼女は、自分の敵だと知っていてもなんとなく封印の場を掃除し、魔物を遠ざけ、必要もないのにしばらくここで過ごしてしまう。