「あ、ありがとう……?」
畑に水を撒いていたエステルは、転びそうになったところをゼファーに助けられていた。
魔法ではなく襟首を掴まれて、である。
「下ろして……」
「お前が動いても余計な仕事が増えるだけではないのか」
「そんなことないよ!」
ゼファーの手に掴まれたエステルがじたばたもがいていると、こちらへ来る途中だったらしいレスターが足を止めた。
そして目にも留まらぬ速さで駆け寄り、ゼファーの腕から最愛の妹を取り上げる。
「うちの妹に馴れ馴れしくするな!」
「馴れ馴れしいのはお前の妹のほうだ。暇さえあれば手ではなく口ばかり動かして、実に小うるさい」

