「ジョナス殿、いったいどう意味でしょう。彼女がいったいなにをしたと」
冷やかな声色から皇太子の怒りを感じて、背筋がすうっと冷える。だが肝心のジョナスは、その空気に気づいた様子はない。
「他国の方でいらっしゃるアルフレッド殿はご存じないでしょうが、その女は男を見れば見境なく声をかけるふしだらな悪女なのです。そのうえイレーヌ嬢への嫌がらせまで。それゆえ私の許嫁にはふさわしくないと判断しました」
「なるほど。それで婚約を解消したと」
「はい!」
嬉々とした顔で返事をしたジョナスに、アルは静かな微笑みを浮かべた。
「ではなんの問題もないということですね」
「は?」
「私がこれから彼女を口説いても、誰にも迷惑はかからないということでしょう?」
「口説く⁉」
「嘘っ!」
ジョナスとイレーヌの驚きの声が重なる。リリィもあと少しで声を上げそうになったが、すんでのところでのみ込んだ。前にからかわれたことを思い出したのだ。
そうよ、これはアルの冗談だわ。
暴れだしそうになる心臓をどうにか必死になだめている隣で低い声が言う。
「私は自分の目で見たことだけを信じることにしています。王家たるもの、うわさ話や戯言に振り回されていては国を安寧に導くことなどできませんゆえ」
「それはいったいどういう……」
アルは顔を真っ赤に染めたジョナスを気にも留めず、リリィに微笑みかける。
「そろそろ行きましょうか、リリィ=ブランシュ」
冷やかな声色から皇太子の怒りを感じて、背筋がすうっと冷える。だが肝心のジョナスは、その空気に気づいた様子はない。
「他国の方でいらっしゃるアルフレッド殿はご存じないでしょうが、その女は男を見れば見境なく声をかけるふしだらな悪女なのです。そのうえイレーヌ嬢への嫌がらせまで。それゆえ私の許嫁にはふさわしくないと判断しました」
「なるほど。それで婚約を解消したと」
「はい!」
嬉々とした顔で返事をしたジョナスに、アルは静かな微笑みを浮かべた。
「ではなんの問題もないということですね」
「は?」
「私がこれから彼女を口説いても、誰にも迷惑はかからないということでしょう?」
「口説く⁉」
「嘘っ!」
ジョナスとイレーヌの驚きの声が重なる。リリィもあと少しで声を上げそうになったが、すんでのところでのみ込んだ。前にからかわれたことを思い出したのだ。
そうよ、これはアルの冗談だわ。
暴れだしそうになる心臓をどうにか必死になだめている隣で低い声が言う。
「私は自分の目で見たことだけを信じることにしています。王家たるもの、うわさ話や戯言に振り回されていては国を安寧に導くことなどできませんゆえ」
「それはいったいどういう……」
アルは顔を真っ赤に染めたジョナスを気にも留めず、リリィに微笑みかける。
「そろそろ行きましょうか、リリィ=ブランシュ」



