「お弁当箱、洗って返すね」

「あげるわよ」

「えっ、悪いよ」

「お下がりで良かったら。お祝い。あ、お祝いに使用品はヤバいか」

「ヤバいね」

千葉さんが煽って、武田さんは笑った。

「いいの?」

「九条さんこそいいの?」

「一生大事にする」

「九条さんってほんと大袈裟」

千葉さんが笑った。

「九条さん、ごめんね」

唐突に武田さんのグループの女子が謝る。
その中にはあの視聴覚室に居た女子も。

「遅くなってごめんなさい。あの時は本当にごめんなさい。九条さん、すごくかっこよかった。私も九条さんみたいにかっこいい、恥ずかしくない人間になりたい」

「私は…そんな人間じゃないよ…」

女子が首を振る。

武田さんが「かっこいいよ」って言った。