命令教室


☆☆☆

派手に飛ばされた充だったけれどケガは大したことがなさそうで、今はみんなと同じようにグラウンドの中央に集まっていた。
血もすっかり止まったみたいだ。


「100周なんて無理だよ、できないよ」


震える声で呟いているのは花と彩だ。
ふたりはこの9人の中でも1位2位を争うくらい運動が苦手だ。
特に彩は今足を怪我しているから、歩くスピードだって遅いくらいだ。

そんな中でグラウンド100周なんて、本当ならさせるべきじゃない。
だけど命令に従わなければ消えてしまうかもしれないんだ。
誰も彩に『休んでいていいよ』と、声をかけることなんてできなかった。


「グラウンドを走るペースはみんなバラバラだと思うから。自分で何周目かちゃんとカウントしておこう」


全員に声をかけたのは修だ。
太陽が登りきってしまう前に初めてしまいたいと思っているみたいで、さっきから仕切りに空を気にしている。
今日も晴天で、雲ひとつない青空が広がっている。
こんな状況じゃなければ気持ちのいい1日になりそうだと、期待していただろう。


「やっぱり走らないといけないのかな」