「そんなのできない!ミンジュンを置いて行くなんて絶対に嫌!逃げるのなら一緒に逃げるわ!」

一花はそう言い、ミンジュンの足に消毒をかけていく。ピリッと傷が染みる中、ミンジュンはもう一度言った。

「逃げろ、一花。ここは危険だ。あいつらは普通の兵士たちじゃない」

「普通の兵士でも、そうじゃなかったとしても、私はあなたを見捨てないわ!」

一花は真っ直ぐミンジュンを見つめる。その目には涙が滲んでいた。

「私は嫌なの!ミンジュンを犠牲にして生きるなんて、絶対に嫌!……一緒に生きて帰るの。絶対にみんなと一緒に帰るの。これは約束ーーー」

一花の言葉は、無慈悲に鳴り響いた銃声によってかき消される。一花の胸は血が染まり、その場に崩れ落ちる。

「一花!?」

ミンジュンはその場に倒れた一花の傷口を見る。銃弾は貫通しているようだが、傷が深いようで出血が酷い。

「ッ!」

ミンジュンはすぐに傷口を圧迫し、止血を始める。早く出血を止めなければ、一花はあと数時間ももたない。