この部屋にはベッドと椅子が置かれているだけで、女性が隠れることができるような場所はない。いくら女性が格闘技の心得があるとしてもこちらは三人、向こうは一人で、おまけに男性三人は武器を持っている。女性に勝ち目はない。

「隠れる場所なんてないんだ!どこに行った?」

隠れる場所があるとすれば、ベッドの下くらいだろう。早く女性を再び拘束しなくてはならない。男性の一人がそう思っていたその時だった。

突然、暗闇の中から何かが走って来る。それは毛先がピンクに染められたウェーブした黒髪を持った華やかな顔立ちの女性だった。

組織が捕らえた女性を見るのは初めてで、男性は脳の情報処理が追い付かない。一瞬にして女性の顔が目の前に現れ、華やかな顔立ちがさらにはっきり見える。

刹那、男性の体に衝撃が走る。腹部に感じる痛みから、鳩尾を殴られたのだと理解した。男性がその場によろめいた刹那、今度は顎を蹴り上げられる。男性の一人は顎への打撃により、あっという間に戦闘不能となった。