「悲しいから泣いているんじゃないの。すごく、すごく、すごく今嬉しいの!生きててくれてありがとう!」

一花がそう言うと、ミンジュンは顔を上げる。その瞳は潤んでいた。

「この馬鹿!心配かけやがって!」

モニカがミンジュンに近付き、彼を強く抱き締める。それを合図にしたかのように、他のメンバーもミンジュンに近付き、泣き笑いをしながら声をかける。

その様子を、桜士と十はただ静かに見守っていた。桜士の目には、花が咲いたように明るく笑う一花の顔しか映らない。

(ああ、綺麗だな……)

桜士の胸が、トクンと何百回目かわからない恋の音を立てた。



ミンジュンとの面会が終わり、桜士と十は病院の玄関でeagleのメンバーたちと別れた。これからまた残党の行方を探す捜査を警視庁に戻ってしなくてはならない。

「あっ、九条さんすみません。ちょっと忘れ物をしちゃいました……」

車に戻ろうとした矢先、十がそう申し訳なさそうに言う。桜士は「この忙しい時に何やってるんだ!」と言ったものの、すぐに取ってくるように言い、十を待ってあげることにした。