警察官は敬礼をし、すぐに廊下を歩いて行く。その背中を数秒見た後、桜士はドアノブに手をかけ、一花たちに訊ねる。

「開けてもよろしいですか?」

「お願いします」

eagleを代表してクラウディオが答える。桜士がドアを開けると、ベッドが目に飛び込んでくる。そこにはーーーミンジュンがいた。ベッドの柵と手を手錠で繋がれ、その手には包帯が巻かれているものの、ミンジュンは入って来た桜士たちに気付き、顔を上げる。

「あんたは公安の……。それに、クラウディオ先生、モニカ、アルフレッド、ナタリア、リティク、一花、アルオチ、オリバー、ヨハン……。来てくれたんだ」

ミンジュンはそう言うものの、その顔に笑みはない。当然だろう。ミンジュンはただCerberusに捕えられていたのではなく、犯罪行為に加担させられていた。面と向かって話せないだろう。

あの日、自殺を図ったミンジュンに桜士は発砲した。ミンジュンの腕を銃弾は貫いたのだが、それでも彼は自殺をしようとするのを止まなかった。