「開けるぞ」

男性の一人がそう言い、二人はコクリと頷く。男性の一人がスーツのポケットから鍵束を取り出し、鍵を一つずつ外していく。そして電子ロックの四桁の数字を入れ、全ての鍵を外した。ピピッというロックが外れる音が廊下に響く。

「俺が開けるよ」

鍵を外した男性に、周りを警戒していた男性の一人が声をかけ、分厚い扉に手をかける。ゆっくりと開いていく重い扉を見つめながら、男性の一人が懐中電灯をつけた。地下室に一応電球はあるものの、どこか常に薄暗いためだ。

懐中電灯の光が、女性が縛り付けられているはずのベッドを照らす。だが、すぐに異変に彼らは気付いた。

「いない!?」

布団が置かれたベッドは誰もおらず、女性を拘束していたのであろう鎖があるだけである。だが、女性の力で鎖を解くのは不可能なはずだ。

「この部屋からは出られないはずだ!どこに隠れた!?」

男性の一人が焦ったように声を上げる。もしもここで女性を逃がしてしまえば、幹部入りどころか始末される可能性の方が高い。男性の頰を冷や汗が伝う。