恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに


「マルガレーテ」
「はい?」
「オレは、おまえが好きだ」
「……なんて?」

思わず、前世の言葉が出てしまうほどの衝撃でしたわ。

メインヒーロー…アク物で一番人気のカイン王太子が、悪役令嬢のマルガレーテを好きになる?何十回とプレイしましたが、そんな展開は一度もありませんでしたわ。

「信じられないですわ。わたくしを何度もぶす呼ばわりしたお方が」
「あれは、オレが子どもだったんだ。けど、おまえの言葉で目が覚めた。自分のしあわせより、皆や民のしあわせを願う…と、おまえが叱りつけてくれたから、恥ずかしくなり……自分なりに努力したんだ。だから今のオレがある」

あら、まあ。わたくしの言葉が響いていたなんて意外でしたわね。案外素直になられました。

「アイカという女は確かに2年前オレの周りに出没し始めたが、ストーカー行為で気味悪くて出入り禁止したのにしつこくつきまとうから、国外追放処分したんだ」
「あら…よろしいのでしょうか?」
「ゲームとやらは所詮ゲームだろう。オレもおまえも生きてる。だから、オレたちだけの新しい物語をこれから作ればいい」

カイン王太子のおっしゃることも、もっともですわね。
ゲームではエンディングを迎えれば終わりですが、わたくしたちはこれから先何十年も生きていきます。
終わりがないストーリーを紡ぎながら。

「……わかりましたわ。とりあえず、婚約破棄は保留ですわね」
「……なぜ、そうなる?」
「ふふ、ならばわたくしを本気で落としてみてくださいませ?」

でも、なんとなく予感がいたします。
ゲームとは違い、わたくしがいずれアクスフィアの王妃となる日が。

(終わり)