「な、オレには……くだらなくはない!」
なぜかムキになるカイン王太子に、もう一度ため息とともに説明して差し上げますわ。
「シシはいずれ授爵して、リリアナお姉様と結婚いたしますのよ。わたくしと…だなんて、天地がひっくり返ってもありえませんわ」
「そ、そうか。それならいい」
どうして、カイン王太子がほっとするんでしょうか?意味がわかりませんわ。
「危ない!」
突然カイン王太子がわたくしを抱きしめると、そのまましゃがみ込みます。すると、ほんの数秒後にはすぐ間近で空気を震わせる音。
予想外の猛スピードで、マジックウルフが襲いかかってきたのです。
「マルガレーテ、大丈夫か?」
「え、ええ…」
なぜ、でしょう?
カイン王太子の思ったよりもたくましい腕に、はからずもドキドキしてしまいましたわ。
15歳と成長盛りですものね。身長も伸びてずいぶん大人びてこられましたわね。
「マジックウルフのボスだ。いきなり総大将が現れるとはな…」
カイン王太子がおっしゃられたとおりに、現れたオオカミは全長5mはありそうな巨体を誇ります。爛々と輝く紅い瞳。鋭い牙と爪。
下級冒険者ではとても敵わないBランクの魔物ですわ。



