恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに


「マルガレーテ様、娘の産着をありがとうございます…しかし、これは今までにない素材ですわね。滑らかで肌に優しそうです」

アンナは不思議そうに侍女から渡された贈り物の産着に触れていますわね。

「はい、それは絹(シルク)の織物を生地に使っていますの」
「絹……ですか?これが」
「はい。新しい織りと染色を開発しましたの。バーセンハイムの新しい名産品に、と思いまして」
「なるほど…確かに、染めも見事ですね」

アンナは女官長であり、品定めの目は厳しい。そんな彼女のお眼鏡に適えば……とドキドキと待っていましたが。

「……では、娘のマリアナやわたくしの服の生地を頼んでみても?」
「!……ええ、ぜひお願いしたいところですわ!」

アンナからそんな注文をいただけて、舞い上がりそうなくらい心が浮き立ちましたわ。

(やりましたわ……!養蚕業を安定させるには、やはり作った布が売れなくては意味がありませんからね)

わたくしが3年前からずっと試みていたのが、養蚕業を盛んにすること。絹(シルク)は古代より馴染まれた高級品。

ダイヤモンドの商品化に成功したわたくしは、次の一手として養蚕業に目をつけたのです。
ダイヤモンドは無限に採れるわけではありませんが、養蚕業ならば途絶えることなく生産できますものね。

ダイヤモンドの販売で国庫が潤ってきたので、資金はなんとかなりましたわ。