恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに




「アンナ様、ご出産おめでとうございます。ささやかながらお祝いを持参いたしましたわ」
「マルガレーテ様…わざわざありがとうございます」

アクスフィアの首都ハイムにあるロックス伯爵家のタウンハウスにて、つい最近カイン王太子の女官長を務めるアンナが初めての子どもを出産されました。

去年アンナは近衛騎士のガストンと結婚し、伯爵夫人となられたのです。
どうやら2人は幼なじみだったらしく、3年前の練兵場での出来事をきっかけにとんとん拍子でことが運び、年内に婚約。そして結婚してすぐに妊娠され、こうして子どもまで誕生しました。

(なんだか不思議ですわね……こうして新しい命が誕生するなんて……)

アンナの横にあるベビーベッド。目の前にすやすや眠る赤ちゃんは結構大きくて、つい最近まで母親であるアンナのお腹にいたのが信じられない。ゲームではただのデータなのに…この子は生きています。そして、これから長い時間をこの世界で過ごし生きるのですわね。……当たり前ですけれども。
 
「可愛らしいですわね。目もとと口はガストンさんに似て……髪と鼻はアンナさんに似て…でも、信じられないですわ。自分のお腹から新しい命が誕生するなんて…なんだか怖い気もしますわ」
「マルガレーテ様も、きっと妻になられればわかりますよ。このひとの子どもが生みたい…と自然に思えるものです」
「……そうかしら?」

前世では、恋など無縁だった。だから二次元に逃げ込むしかなくて……今世で容姿が優れなくても、気にしないで済む立場はありがたかったのです。
それでも、やはりこのままではいけない…とぼんやり感じますわ。なので、マリネの助けを借りて外見の改善のために努力しておりますの。
ですから9歳になった今は痩せて肌もなめらかになっていますし、3年前よりマシですわよね。