ストーカー気質な彼女は,甘い溺愛に囚われる。

頭がボーッとして,いつも以上に陽深ちゃんのことを思い出す。

そして繰り返した思い出すのは,いつもと違い,たった一部のシーンだ。



「センセーに当てられても気付かないなんて,らしくねぇな,静流。……静流?」

「……真輝,なんか言った?」



意識を取り戻し瞳が大きくなると,真輝はそんな俺を呆れ顔で見る。



「元気そーではあるけどさ,静流,なんか飲めば? やべーわなんか知らんけど」

「んー……そうする」



と言っても,飲み物は切らしていた。

財布を持って,自販機のある外まで早歩き。

何にしようかな,と,ラインナップを見つめる数秒。

やっぱり今なら水かな,でも……

と,2つで迷う。



「……ぁ」



耳が拾った小さな音。

驚いて,俺は振り返った。

なんで……ここっに。

俺が気づいたことに気付かない陽深ちゃんは,考えるように手を当てて,焦ったように瞳を揺らしている。