友理と言う友達にくっついて歩いていたために,自分の足を友達に引っ掻けてしまったらしい彼女。

ぐらつく身体を支えることも出来ず,そのまま倒れてしまったようだった。



「いた……た……」



座り込むように倒れた彼女を,周りは揃って驚いたように見る。

手を差しのべようと彼女の友達が彼女の名前を呼んだ時。

既に駆け寄っていた俺が,彼女の前にしゃがんだ。

初めてあった時,俺はこの子の名前も知らなかった。

でも,今は知っている。

なんて,声をかけたらいいんだろう。

西尾さん? 陽深さん?

どちらも,少し,距離のある呼び方。

同姓ならともかく,俺らの年齢には合わないのかもしれないけど。



「陽深,ちゃん。大丈夫?」



はわっ……っと,目の前の瞳や口が震える。

友達の方も,目を丸くして俺を見ていた。