ストーカー気質な彼女は,甘い溺愛に囚われる。

弾けるように左右に振られる頭。



「良かった」



俺が嬉しくて笑うと,陽深ちゃんは胸の前でぎゅぅっと拳を握る。

その動きは,どういう意味?

自覚した途端,陽深ちゃんのことが知りたくて,理解したくて,全てが気になった。



「ねぇ,嫌じゃないなら……俺と付き合って。きっと,出来るだけ誰よりも優しくするから」



嫌じゃないなら,なんて,我ながらずるい。

一つ一つ否定するのは,少し難しいはずだから。

でも,それでも。

どうかな? と笑いかける。

俺だけがいい。

陽深ちゃんを見ているのは。

陽深ちゃんが追いかけて,見て,照れるのは。



「私で……いい,の? 真輝くんにはストーカーだって言われちゃったし,可愛くも賢くも……強くもない,のに……」



私のこと知らないから……って,口にされなくても聞こえた。

一部に元凶を見て,真輝めと言葉を飲み込む。



「ストーカーでも何でも,俺はそれが嬉しかったし,陽深ちゃんのことが好きだよ。いつどこで見ても可愛いと思うし,ふいに思い浮かべても可愛い。好き。学力までは確かに知らないけど,普通に話しててばかだとは思わない。それに陽深ちゃんが強くなくても,関係ないよ。寧ろ,弱いなら弱いで,俺が守ってあげる」



陽深ちゃんが,自分を下げる必要なんてない。

心配して,怖がって,遠慮することもない。

俺だって,足りないところだらけ。

自分が陽深ちゃんを想ってることも,陽深ちゃんを想って怒ったことにも,気付けないくらい。

鈍感で,間抜けなんだ。

だから,だめかなあ。