ストーカー気質な彼女は,甘い溺愛に囚われる。

「なんで……」



小さく聞こえた疑問。

陽深ちゃんの戸惑いが,全てそこに詰まっているように聞こえて。

返事以前に,俺の気持ちに戸惑っているのが分かって。

答えてあげたいと思った。

突然で困惑する陽深ちゃんの気持ちを掬うように,言葉に乗せる。

俺が誰かに好きだと伝える日があるなんて,考えたこともなかった。



「気付いてたよ,陽深ちゃんが俺のこと追いかけて,見てくれてたの。いつの間にか,それが嬉しくて。可愛いと思うのが,当たり前になって。……よく躓く陽深ちゃんが,いつかまた転ぶかもしれないから,たまたまじゃなくて,毎日絆創膏を意識して持ち歩いて」



これって,勘違いじゃない。



「俺,陽深ちゃんのこと,とっても好きみたい」



気付けたこと,目の前の陽深ちゃんの恥ずかしそうな顔。

分かってるのに,いじめたくなる。

でも,きっとだめだから。

逃げられてしまったら悲しいから。

その感情は,ぐっと押し止めた。



「陽深ちゃんは,俺のこと,いや?」