ストーカー気質な彼女は,甘い溺愛に囚われる。

『あの……仲,とかは,無い……よ?』



混乱したようなその声は,とても馴染みのあるもの。

そうか,ここ……

陽深ちゃんのクラス。



「何やってんだ? あいつ」

『西尾さん,教えてよ。どうしたの? 静流くんの好きな話題とかあんの?』

『……話題…? ごめんね,私,静流くんの事は……あっ好きなジュースくらいなら,この前……』

『そうやってさ,隠さなくってもいいって。あたしら,2人が仲いいのも,静流くんの気引くために怪我までしたのも知ってて聞いてるから。ってかなんなの? ちょっと聞いてるだけじゃん』



俺の事で,詰められているのが分かった。



「あいつら,ばかじゃね?」



ため息をついて,走り出そうとした真輝。

真輝は,いいやつだ。

たった1度見ただけの女の子のためでも,臆せず突撃しようとする。

だけどね,真輝。



「俺が行くよ」



今は,俺の役目でしょ。



「……ほらみろ,確定じゃん」



俺が真輝の肩を掴んで俺と逆,後ろに引くと,真輝は顔を歪めて,何かを呟いた。