ストーカー気質な彼女は,甘い溺愛に囚われる。

離れようか,でも不自然じゃ,隠れる場所は。

留まる留まらないの思考の末,癖なのかまず隠れられる場所を探す陽深ちゃん。

声をかけるのも悪いような気がしてくる,健気なその姿に,つい笑いが押さえられなくなった。



「っ!」



ようやく俺と目があった陽深ちゃんは,カアッと顔を染める。



「さっきぶり」



ヒラヒラと手を振ってみた。

自身の手をグーパーと見つめて,慣れない様子で振り返してくれる。



「は,はい……あの,私は体育終わりで……。……あのっ静流く……南,さん? は,何を選ぼうと……?」



ぎゅっと拳を握り,震えた声で尋ねられた。



「水とバナナ·オレで迷ってて……水の方が安いし,そっちにしようかなって思ってたところ」



意図が読めず,取り敢えずそのままに答えた俺。



「陽深ちゃんは?」

「えっ」

「何が好きなの?」

「いちご……オレ,です」

「そっか」




ふわりと,怖がらせないように微笑んで見せる。

なのに,陽深ちゃんの方は逆に,緊張したように赤くなってしまった。

何かを決意するように,パタパタと寄ってくる陽深ちゃん。

かわ……



「あのっ!」