【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!



「じゃあ測ってもらうか、まず」

「う、うん」

 指輪のサイズを測ってもらうため、店員さんを呼ぶカオル。その行動はテキパキとしていて、私がなんかあたふたしちゃいそうになる。

「ミク、左手の薬指出して」

「あ、うん」

 言われたとおり左手の薬指を出すと、女性の店員さんがサイズを測ってくれる。

「奥さま、すごく手が細くて長いですね」

「え、そうですか?」

「とっても素敵ですよ。スマートな指をしています」 

 自分の指を褒められたことなんて一度もないせいか、なんか恥ずかしい気持ちになる。

「奥さまの指輪のサイズは七号ですね」

「七号……」

 これが私の指のサイズなんだ。初めてちゃんと測ってもらったな。

「では、旦那様のも測りますね」

「お願いします」

 カオルはなんだか淡々としている。緊張した素振りもないし、恥ずかしい気持ちもなさそうだ。

「旦那様のサイズは十七号ですね」

「十七号。 じゃあ色々と見ていこうか、ミク」

「あ……うん」

 婚約したとはいえ、まだ入籍はしていない。 しかしそのうち入籍して、私とカオルは夫婦になる。
 それも遠い日ではない。結婚指輪をもらえば、それこそ実感が湧くのだろうか……。