【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!



 唐突な言葉にびっくりした私は、「えっ?」と首を傾げた。

「俺はミクと結婚する。だから、ミクが俺のものっていう印が欲しくてさ」

「……な、にそれっ」

 俺のものって……。

「ミクのことしっかり捕まえてないと、まだ婚約破棄したい゙とか言われるかもだろ?」

 私はその言葉に「はい?」と返事をする。

「そんなふうにさせたいために、結婚指輪が欲しいんだよ。今すぐにでも」

「べ、別に……そんなことしなくたって」

 そこで言葉が詰まる私に、カオルは「そんなことしなくたって、なんだよ?」と問いかけてくる。

「……婚約破棄したいとか、言わないし」

「本当にか?」
 
「……本当よ。だって、好きな人がいてもいいんでしょ?」

 カオルに視線を向けると、「いいよ。それでも構わないって言ったろ?」と自信満々な表情を見せる。

「……ん、なら言わない」

「それは良かった」

 カオルといると、なんか時々テンションが狂う。なんかわかんないけど、ちょっとだけどんな反応したらいいのか分からない時がある。

「ミク、指輪のサイズ分かるか?」

「え、そんなの分かんないよ」
 
 私、普段指輪とか付けないし。そもそも、サイズを測ったこともないかも。