【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!



「ただいま帰りました」

 自宅に到着して家の中に入ると、姉夫婦が来ているようで、二人のスニーカーが並んで置いてあった。

「おかえりなさい、ミク」

「ただいま。……お姉ちゃんたち、来てるんだ」

 私を出迎えたのは母で、母は私に「そうなの。マユが美味しいマカロン買って来てくれたから、ミクも食べたら?」と微笑んでいる。

「うん、ありがとう。 手洗ってくるね」

 姉夫婦が来ているのは嬉しいけど、ちょっと複雑な気持ちになる。 旦那さんのことが好きな私は、どんな顔をして会えばいいのか分からない。
 いつもどおりに振る舞えればいいんだろうけど、出来るかな。
 
 姉のマユは妊娠六ヶ月目に入ったようで、安定期を迎えていた。お腹も少しずつ大きくなっていて、ぽっこりとしていた。
 最近は鼓動も感じるみたいで、動いているのが分かるようになってきたと笑っていた。

 本当に姉は幸せそうだ。こんなに笑っている姉を見ると、私も嬉しい。
 でもちょっとだけ複雑だ。 家族が増える喜びを噛み締めながら、姉夫婦は生きている。
 幸せってそれぞれ違うけど、やっぱり幸せだと笑う数が多いんだなって思う。

「ねえ、ミク。カオルくんは優しい?」

「え?」