エリナと別れて自宅に帰る途中、スマホが何かを知らせる音を立てる。 ポケットからスマホを取り出すと、カオルからのメールだった。
【ミク、明日デートしない?】
文面を見て思わず、「デート……」と呟いてしまう。
【どこに行くの?】
そう返すと、すぐに既読が付く。
【ミクの行きたい所に行くよ】
私の、行きたい所……。
【明日の十時に迎えに行くから、それまでに考えといて】
私はすぐに【分かった】と返信し、スマホを再びポケットにしまい込む。
カオルが優しすぎるからなのか、私はカオルとの結婚に前向きになれずにいたけど、今は少しずつカオルのことを知れるように努力している。
カオルに甘えてばかりじゃダメなのは、分かっているけど、なかなかうまく行かない。
よく分からない感情に流されるまま、婚約することになったけど、今でも本当にこれでいいのかは分からない。
何もかも捨ててカオルと幸せになれたらいいのに、なんて……。あれ、私は何を期待しているんだろう。
カオルのことを好きじゃないって言ったし、カオルもそれを受け入れている。 だからこそカオルは、私がカオルのことを好きになれるように尽くしてくれると言っていた。



