【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!



 えっ……? 三年、前……?

「三年前って……?」

「ミクがお姉さんと舞台を観に行った時あったでしょ? あの時、ミクの隣に座ってたの、カオルさんなんだって」

 三年前の舞台?……あ、あの時?

「ジュース、こぼしたやつ……かな。もしかして」

「そう。それだって」

 思い出した……。そうだ、あの舞台を観に行った日、私隣座ってた人にジュースこぼしちゃったんだ。 慌ててジュースをこぼした所を拭いたけど、相手の人は笑って「大丈夫ですよ。お気になさらず」と笑ってくれていた。
 しかも私のことを気遣ってくれて、「濡れてませんか?」と声を掛けてくれていた。

 まさかそのジュースをこぼした人が、カオルだったなんて……。私たち、その頃に出会ってたんだ。
 それを私は、覚えてないなんて……。

「あの時の男性が、カオル……だったんだね」

「一目惚れだってさ、カオルさんの」

 え?一目惚れ? ちょっとした出来事だったのに……?

「一目、惚れ……」

「そう。ひと目見て、ビビッときたんだって」

 ビビッと……。確かに私も、あの人を好きになった時、ビビッときた気がする。
 好きだなって思い始めてからは、彼まっしぐらだった。