「……ん、そうだね」
エリナはハーブティーを飲みながら、「飛び込んでみたら、案外楽かもよ?」 と笑っている。
「え?」
「だって好きな人と結ばれないの分かってて想い続けるなんて、虚しいじゃん? それなら、受け入れてくれる人と一緒になった方が、ミクの心も楽だと思うけどな」
確かにエリナの言うとおりかもしれない。私にはカオルという存在がいる。
婚約者である彼と結婚して幸せになれば、私の身も心も満たされるはずだ。
カオルという旦那さんと、そばで笑って生きられたら、それだけで私の人生は満たされるきっと。
誰かを想い続けることは時に苦しくて、時に虚しい。そして、心が埋まることはない。
私の心を埋められるのは、私とカオルだけだ。
「私は、ミクが幸せになれるなら、どんな形でもいいいと思ってる。 ミクはカオルさんと、幸せになるべきだよ」
「……ありがとう、エリナ」
「きっと、カオルさんならミクを大事にしてくれるよ。 だって、カオルさんはミクしか見てないじゃん。ずっと前から」
エリナの言葉を聞いて、一つ疑問が湧いた。
「ずっと前から……って?」
「知らないの? カオルさん、ミクのこと好きだったんだよ。三年前からずっと」



