その目が自分へ向けられたことのショックと

彼女が消えてしまいそうな恐怖で

足が張り付いたようにその場から動けなくなった。


すると彼女は見るも恐ろしい

人形のように美しくも歪んだ笑顔を浮かべながら



「お邪魔してごめんね。私はもう行くので気にせず楽しんで?」



と言って去った彼女は "心から" 笑っているようだった。


あまりの衝撃に意識が飛びかけていると



「ねぇ、琴瀬さん行っちゃったね? だから…
私と楽しいこと、しよ?」



甘ったるい声に意識が戻され、腕を一気に払う。


そして、これまで出したことのない

自分でも驚くほど冷たく低く地鳴る声で



「⎯⎯消えろブス。金輪際俺と瑠花に関わってくるな。
お前みたいな自己中女、誰が好き好んで相手にするか。
勘違いも甚だしい。瑠花を悲しませたこと、 一生後悔させてやるからな?」



⎯⎯⎯⎯俺も然りな。