知らず知らずのうちお互いに、何か同じものを感じていたのかもしれない。



⎯⎯⎯正直言って、理斗のことはすごく大切だ。

告白されて不安よりも嬉しい気持ちが先行するぐらいには。


それに彼に触れられると心做しか、いつもより鼓動が少し速くなるし

彼の匂いを嗅ぐと、すごく落ち着く。



その感情が " 恋情 " かどうか……


もしそうだったとしてもその感情を信頼出来ない。


すぐ気が変わるぐらいだったら、相手の為にも持ち合わせない方が良い。



今一つ、踏み込むことができないのは……

彼が離れていってしまうかもしれない可能性が怖いのだ。



人の心は移りゆくもの。


自分の心ですら信じられないのに


他人の心を信じるなんて⎯⎯私には至難の技に思える。



そんな泡沫(うたかた)の恋に振り回されても平気なほどの余裕は


⎯⎯⎯⎯私には無い。