「いや。もちろん、お嬢様には何の不都合もありません。私とは縁がなかったんだと思います。僕は昔からクラッシック音楽が大好きだったんです。クラシックなんてつまらないという女性が多くて、私が呆れられてしまうんです。変人の私は彼女のピアニストというところに惹かれたので、そこは重要なんです。今後彼女のピアノで今まで以上にグループ内で成果があると思います。期待して下さい」
 
 しばらくすると、後ろの方でざわざわし出した。
 静香の天敵が、庇われている百合を見ながらこれみよがしに話し出した。

 「ピアニストっていったって、認知もされていなかった愛人の娘だったのに、急に援助してもらって売れるようになったから彼を誘惑したんでしょ。血は争えないわね」

 「あなた、その言い方失礼でしょ!そういうあなたは生まれつきただ社長令嬢ってだけで、何が出来るの?」

 静香が言い返した。

 「……は?あんたこそ、関係ないのに口挟まないでくれる?昔から黎様のただの腰巾着のくせして……」