黎は彼女を抱き寄せた。背中をさすってやる。

 「百合。俺のことは心配するな。父が今マスコミへ手を回している。それに何を聞かれても君のことは答えないから安心しろ。プロダクションとの資金提供契約は打ち切るが、俺自身が援助してやるから心配するなよ。これでも金持ちなんだ」

 百合は彼を見た。ニヒルに微笑む黎を百合は相変わらず無敵だと思う。

 「お金持ちのお坊ちゃま。私には身分違いだわ。今だって、カボチャの馬車に乗って、シンデレラになっているだけかもしれない」

 「百合!そういうことを言うなって言っているだろ?俺が選んだのはお前だけだ。愛してるんだ、百合」

 「知ってるわ。私の王子様。私も黎を愛してる。だからこそ、あなたを巻き込みたくなかった」

 百合は黎を頬を両手で囲ってキスを落とした。