「あ、でも黎さんがここを使いたいときは言って下さいね。私、帰りますから……」 黎はむっとして百合を見た。 「百合。どういう意味だ?」 「え?お仕事とかでひとりになりたいときもあるでしょ?だって、そっちの部屋書斎だったし。黎さんの書斎でしょ?お仕事するんでしょ。うるさくないほうがいいじゃない」 百合が目をくるくるさせて言う。全く分かってない。ここへ今日も何しに来てると思ってるんだ! この困った奴をどうしてやろうかと抱き寄せた。 「どうしたの、黎さん?」 顔をのぞき込んで言う。