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「更咲(さらさ)今日どうする?どこか寄って行く?」

 湯原更咲(ゆはらさらさ)はデスクのキーボードを打つ手を止め、同僚の方へと振り返った。

「うーん。どうしようかな?お給料も出たことだし遊びたいな」

 更咲は今日の予定を考えながら、隣でパソコンのキーボードを叩き続ける先輩の岡本さんを見た。

「岡本さんも一緒にどうですか?」

 一応先輩にも声を掛けてみる。

 社交辞令というやつだ。

 まあ、答えは分かっているんだけど。

「私は結構です」

 やっぱりね。

 この人はいつもこうだ。

 協調性が無くて、こちらと仲良くしようとする努力もしない。無表情で仕事をする仕事サイボーグ。友達もいるようには見えないし、何が楽しくて生きているんだろう。こっちは笑いたくも無いのに愛想笑いして、お世辞言って……美容にも気をつけて身ぎれいにして……。

 でも、ほら私って可愛いでしょ。

 目はクリッとしていて、ぽってりとした唇。華奢な体に大きな胸。小さい体に大きな胸というアンバランスさが、男性の心を鷲づかみにしちゃうのよ。

 私って生きているだけで、罪な女よね。

 何も持っていない岡本さんをかわいそうに思う。せめて化粧テクニックで少しでも見られるようにすれば良いのに……。全く化粧気もないし、髪もいつもキツくまとめているだけ。女を捨てるには早すぎるのではないかと思う。

 そう言えばこの間、派手な男が迎えに来ていたけど、あれは彼氏だったのかな?

 まさかね。

 全く釣り合わない感じだったし。

 岡本さんのヒモだったりするのかな?

 お金とかため込んでそうだし。