「あーあー、あぁぁぁ…」

ある少女漫画の新人コーナーに短編の読み切り漫画を掲載してもらえることになった。

涼海 緑。
25歳。漫画家志望。


夢への道はなかなかに長い。


『そろそろ真面目に働きなさい』と田舎の母によく言われる。


そんな私の最近の癒し。

同じ本屋でアルバイトをしている大学生の初ちゃん。

私は倉庫の本をお店に運びながら、視界に初ちゃんを認識する。



かわいい。



あんなに小さくて小動物みたいなのに、一生懸命レジ打ちをしている。

これが母性本能ってやつ!?

徹夜続きのこの今にも閉じそうな目に、かわいいかわいい初ちゃんを写して、なんとか本を運び終わった。


「涼海さん、休憩どうぞ」
「ありがとうございます。」

店長に休憩するよう言われ、スタッフルームに入る。

パイプ椅子に座り、天井を見上げた。


(あぁ…グルグルする~……)


そのまま机に伏せようとすると、頭の重さすら耐えられなかったのか、私は額を思いっきり机にぶつける。


(痛っ……あれ……)


「緑さんっ!?」


…ここで意識が飛んだ。