(もし、璃花子ちゃんの腕をつかんで、奈保ちゃんの名前を呼んでしまったら)



間違えてしまった場合。

言い当て返すことが出来なかった、ということになる。



(叔母さんだって言ってたじゃん。チャンスは一度だって)



間違えられないんだ。

腕をつかんでいる私の手に、汗がにじむ。




(どうしよう、怖い……!)




私が間違えたら。

勇気くんは。







帰って来られなくなる……!!








「♪当ててや 当ててや……♪」



急に歌声が近くに聴こえた。

つかんでいる腕が、そっと動く。

歌声に合わせて、わずかに腕から振動も感じた。



この歌声は。

私が今、つかんでいる腕の人の歌声なんだ。



「♪うちが誰かを

当ててや 当ててや……♪」






あぁ、そうだ。

教えてくれてありがとう。