……気持ちが折れそうになる。


(私はこれを、奈保ちゃんにこの先もなすりつけるんだ)



なんてひどいんだろう。

もう、罪でしかない。



きっと奈保ちゃんの帰りを信じて。

ずっと星無市に居続ける、奈保ちゃんのご家族だっているのに。




(ごめんなさい)




誰に対して謝ってるのか、わからないくらいに。

悲しさで頭が混乱してくる。




(ひどい人間で、ごめんなさい)






触れていた誰かが、そっと逃げた。

歌声はまだ聴こえる。



みんなの声に集中しなくちゃ。



(……そうだよ。みんなの声なら、私は知っている)




奈保ちゃんの声は、まだそれほど聞き馴染みはない。

みんなの声を当てるほうが、私には簡単だよ。




(知らない歌声を探せばいいんだ)




ふと、そう思った。

だからって。

私の気持ちは、軽くはならないけれど。




ごめんね。

でも、あなたのことを。

私は、つかまえるからね。