「せーのっ」
と、璃花子ちゃんの合図。
「♪当ててや 当ててや
うちが誰かを
当ててや 当ててや
あげるさかいに
うちを鬼にしてや♪」
唄い終わると、スマートフォンがブツッと嫌な音を立てて真っ暗になる。
明かりが消えた。
「……来てる?」
と、誰かが言った。
「わからない、見えない。何にも」
と、返事をしている誰かもいる。
真っ暗で。
何にも見えない。
だけど、ここ最近視界が暗くて見えづらかった私は、暗闇になったことに恐怖心を感じなかった。
(奈保ちゃん、来て……!)
そう思った時。
ヒタ……ッ
「!?」
私の目の上に、何かが覆われた感触があった。
冷たい指の感触も。
「【鬼の子】は、響ちゃんでしょう?」
耳元で。
囁かれた。
……来たんだ。
来てくれたんだ。
私は、
「唄って!」
と、声を張った。