その夜。

雨が降っている。



星無市立星無小学校に、私達は忍び込んだ。



「もう小学生じゃないから、忍び込むなんて、なんか悪いことしてるよな?……まあ、小学生だったとしても悪いことなんだけど」

「見つかったらさ、大変なことになると思うよ」

「えっ。肝試し級に怖いこと言わないでよ。進路に響くかな」

「そりゃ、響くだろうよ。進路っていうか、人生に響くと思うよ」



私以外の三人はひそひそと話して、「こっわー」と呟いた。



真っ暗な旧校舎に入って。

それぞれがスマートフォンの明かりをつけた。

廊下に足を踏み入れる。



ギィー……



体重で床が(きし)む音が不気味に響く。



昔とおんなじ、一年二組の教室に入る。



「よし、じゃあ、輪になったんだっけ?」
と仲谷くんが言って、みんなが頷き、輪になる。



「あの子を呼ぼうか」
と、璃花子ちゃんが言った。



「唄うと来るんだっけ?」



そう言った仲谷くんの声が、少し震えている。



「大丈夫だよ、仲谷くん」
と、私は声をかけた。



「私は必ず、やり遂げるから」



私の言葉に、みんな顔を見合わせて、頷く。