もう唄わないで


叔母が【うるおい鬼の歌】を唄った時。

条件は満たしていなかった。

だから、目覚めるはずがない。



でも。

あの子は、目覚めていた。



あの子に言い当てられていた私も、明らかに様子が変わってしまった。




それは。

同じ頃に。

違う子ども達が。

条件を満たしてしまったからなんだ。




叔母のせいじゃない。

その子ども達が、目覚めさせた。



あの子と、私を。





「それでね、ここからが怖いんだけどさ」
と、妹は興奮した声で続ける。



「……いたんだって。もうひとり。知らない女の子が」

「なんで、そのことを知ってるの?」

「え?メッセージが来たんだー。その男子達のうちのひとりから」

「ふぅーん」



良かった。

本当にこの子は、その場にはいなかったんだ。



あんなに恐ろしい思いを。

この子は知らないままで、良かった。




「お姉ちゃん?」

「あ、ううん。なんでもない」
と、私は笑顔を見せて、
「あんまり怖い話、しないほうがいいよ。夜、眠れないから」
と、注意した。