もう唄わないで


尋ねた私の声が(かす)れる。



『怪しまれるからだよ、響ちゃん』
と、璃花子ちゃんは慎重に言う。



「怪しまれる?」

『勇気くんのこと。特に響ちゃんは、来たほうがいいと思う』

「ど、どうして私は『特に』なの?」

『だって』



響ちゃんは言葉を切った。

しばらく沈黙が流れたあと、意を決したように璃花子ちゃんは言った。






『だって、響ちゃんは星無市から逃げたじゃん』







目の前にチカチカと、星が飛んだような気持ちになった。



私は返事をしないまま、耳からスマートフォンを離す。

そして、静かに電話を切った。






……逃げたじゃん。



そうだよ。

逃げたんだよ。



苦しくて。

怖くて。

悲しくて。




私は、おかしくなりそうだった。





ううん、実際におかしくなっていた。

だから。

両親が私をひとり、祖母の家にあずけた。